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ツイッターがいよいよヤバいって話を聞いたその数ヶ月後にツイッターがいよいよヤバいって話が出てくるとは、人は誤ちを繰り返す。
イーロン・マスク…許せねぇな…。
小説家botや画像botの製作者さんがもうダメかも…と嘆く中、しゅうまい君が終わるかもしれないのがかなり悲しくて、やっぱりイーロン・マスク…許せねぇな…。
追記はかべうちからサルベージしてきた書きかけのやつです。ファ5とかテラーとかなんやかんや載ってます。かべうち、公式アカウントが動いてないのでいよいよヤバい気配がしますが以下略

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サイパン
天井に黒い丸があると思ったらそいつがゆっくり動き始めて、ようやくそいつがハエトリグモだと気がついた。
なら俺の視界を行ったり来たりするこの黒い点は小蝿じゃなくて妖精なのかもしれない。
突然何もかもがどうでもよくなって誰にも連絡を取らず部屋に引きこもってるけど誰からも連絡が来ないし誰も遊びに来てくれない。俺は所詮その程度の人間なんだと自己憐憫に浸るほど若くないので酒を飲んで忘れようとしたけどうまくいかず、もう2日ほど寝ていない。
さっきから携帯がブルブル震えている気がするけど、もしかしたらこいつは携帯じゃなくてバイブかもしれない。確認するために天井に目をやったまま手をばたつかせてバイブを握る。やっぱり携帯だった。

アウワー
フェリックス・ミルストーンはアホだ。紛れもないバカだ。こんな世界で生きていくには、あまりに純粋すぎるし頭も足りないバカだ。この間は女に100ビット渡したらしい。なんでも祖母が死にそうで薬を買うための金がないと泣きつかれたらしい。俺は訊いた。女の名前は?
「ジェーン。ジェーン・ドゥ。いい名前だよな」
笑うしかなかった。給料を出してやってないのにいつの間にビットを貯めたんだと問い詰める気も起きないほどに呆れ果てたし、こんな世界でジェーン・ドゥなんて名乗る賢い女がいることにも驚いた。
次はジョン・スミスと名乗る映画監督に君を主役にしたポルノを撮りたいと言われるか、ジョン・ドゥという名前の死体を埋葬するためにエッジウォーターに墓を買ってやるに違いない。
フェリックス・ミルストーンはアホだ。説得、騙し、脅し、泣き落とし、誘惑でもなんでも引っかかった。正確にいうと多少疑いはするし反発もするけど、少しでも良心に訴えかけられると内に潜む天使の囁きに抗えない様子だった。彼はあまりにも優しすぎたし、純粋だった。
そんなわけだから、俺の誘いにも乗ると思った。ちょっと手を握って抱きしめて好きだとか何とか言って。そうしたらあいつは尻尾を振って喜ぶはずだ。フェリックス、エンジンルームでやるのはどうだ?オーケー、ボス。フェリックス、手と口どっちがいい?どっちでもいいよ、ボス。やっぱり階段の踊り場でやろう。オーケー、ボス。そんな調子で口説けると思った。
思ったんだよなぁ。
「フェリックス」
俺の体の下でガチガチに固まった彼に語りかける。ムードたっぷりに耳元に唇を寄せて、それでいて自然に……打算とかそういうの抜きでフェリックスの魅力に下半身が負けたんだよって感じに聞こえるように……俺は語りかける。
「お前とは家族よりももっと良い関係になりたい」
"よりも"と"もっと"のところは強めに発音した。彼の手に指を絡め、ゆっくりと解きほぐしてやる。トスボールスティックの振り回し過ぎでタコのできた指は、ごつごつしていて皮膚も分厚く、いかにもタフな男の掌って感じだった。本人はなにも知らない男の子って面なのに。
「でも」
フェリックスが呟く。弱々しくためらうように。俺を見上げる瞳は親を失った子犬そっくりだ。丸っこくて潤んでて、鏡みたいに見つめる相手の表情を映し出す。よせばいいのに真っ直ぐに見つめ返すと、泣きそうな彼の瞳には、ヘラヘラした笑顔を浮かべた男が一人で佇んでいる。
「家族はこんなことしないよ」
数億の単語を並べるよりも強烈で効果的で、そして反論の隙がない一言に、俺はただ黙りこくるしかなかった。脳と下腹に渦巻いた熱が一斉に背中に駆け抜け、うなじから逃げ出していくのがわかる。
指がほどかれる。分厚い手のひらが俺の胸を押し返し、無言の拒絶をみせる。もう一度手をとる勇気はなかった。俺はアホだ。世界一の。

テラー
彼はいつも辛そうな顔をして眠る。膝を抱えて丸まって、背中を壁にぴったりとくっつけて眠る。眉を顰め、強張った輪郭は何かに耐えているように見える。丸まった彼の姿は暗闇の中だと青白く浮かび上がるようで、まるで貝殻のようだ。叩いて砕けば何を吐き出すのだろう。
たった一度だけ、酷く魘されている姿を見たことがある。丸い額に汗の玉を浮かべ、前髪はへばりつき、両膝の間に顔を埋めているせいで表情は見て取れなかったけど、泣き顔を見られないよう人知れず嗚咽する少年のように見えた。起こす勇気もなく、僕はただ彼の震える二の腕を撫でさすり、朝が来るまでそうしていた。
悪い夢でも見ているのかと訊ねても、彼は笑ってこう答えた。君の夢を見ているのだと。いつも壁を背にして眠るのはなぜかと訊ねたことがある。壁は俺を背中から蹴り飛ばしてこないからな、と彼は笑って答えた。その夜は肩でも腕でもなく、背を撫でてやった。彼は多分眠ってなかったと思う。良かったのか悪かったのかも分からないけど、そうするしかないと思った。
 
彼はいつも辛そうな顔をして眠る。長い足を折り曲げて、小さすぎるベッドに横たわる姿は奴隷そっくりだ。肩まで引っ張り上げた毛布を握り締め、起きてる時でさえ気難しそうな顔は深い眠りに落ちると途端に十字にかけられたキリストみたいな表情に変わった。薄く開いた唇は時々むぐむぐと何かを呟こうとし、夢の中で何かを言い終えたのか言いそびれたのか俺には分からないけど、上手く物が言えないまま諦めたように言い止む様子は、ほとんど泣きそうに見えた。
悪い夢でも見てるのかと訊ねても、彼は気まずそうに目をそらすだけだった。一度だけ人に言えないような卑しい夢でも見てるのかと問い詰めたことがある。彼は驚いたようにあの大きな目を瞬かせ、こう言った。君の夢を見ている。俺の夢?人を勝手に引っ張り出して、それであんな情けない面を晒して。少しは笑ってみろよ、とは言えないまま、彼の代わりに笑ってみた。楽しくなかった。
 
彼はいつも逃げるように煙草を口にする。パンを焦がした後、ちょっとした言い合いをした後、一日中眠りこけた日はベッドの中で煙草に火を点け、夕焼けが差し込む頃にやっと起きたと思ったら寝癖も直さないまま煙草に火を点け、咎める僕の鼻先に向かって煙を吹きかけて誤魔化すのが得意だった。僕が調達してきた煙草を消費するのは彼の仕事で、時々思い出したように葉を巻いたりしていたけど、すぐに飽きて君は手先が器用だからとか何とか言って続きは僕に押しつけ、さっさと家を出て行くこともあった。煙草にまつわるエピソードはどれも言い訳か逃げ道が用意され
彼はいつも最後まで吸えやしないのに煙草を横取りしていく。一息吸い込んだ瞬間むせてせいせい息を吸ったり吐いたりしながら、それでも指に挟んだ煙草を落とさず床板を睨む横顔は哀れっぽくて、滑稽だった。子どもが大人の真似をするように彼は俺の真似をしたがった。煙草も酒も人から人へ話を聞き出し巣を張り巡らすのだって真似したがった。どれも上手くいかなかったし、指さして笑いたくなるくらいみっともない
煙草の火が明滅する。照らされた口元はもう笑みを浮かべていない。
「俺たちには関係ない」
「あの子たちに必要なのは……」
「必要なもの?まともな親と金と身分だ」
「違う」
煙草を指でつまむと、薄皮が剥けてじわりと血が滲む。吐き出された紫煙は窓の隙間から外へと漏れ出していく。
「忘れてた。祈りも必要だ。彼女たちが厄介な男から病気をもらって路地裏で一人寂しく惨めに死にませんようにってな」
「救われねぇよ」
 
「愛せるように努力してきた」「努力?人を好きになるのに努力するなんて初めて聞いたぞ」
「俺を愛するのにも努力が必要か?」
愛する、の部分をわざとらしく強調して彼が囁く。
目が覚めたらきっと柔らかくて清潔なベッドの中なんだ。そして母親が起こしに来てくれて、温かくてきれいな朝ご飯を食べて仕事に出かける父親(俺と同じ赤毛だ!)のすべすべした頬にキスをして、それから庭でネズミを殺して、殺して、殺して、殺して、殺し尽くして疲れたらまた眠るんだ。こんな生活は全部嘘で本当の俺は別のところで生きてるんだ。本当の俺が助けに来てくればいい。そして俺は本当の俺を殺して俺になるんだ。
「名前? 名前か。コーネリアスの前はアルバート、その前はジョナス、その前はデイビット。ウィリアムと名乗っていた時期もあったし、ジェームズやフランシスって名前の時もあった。名前が変わるたびに見た目も変えて、そうやって生きてきた」
 一息に言い切ると、彼はふっと短くため息をつき、目を細めて口角を持ち上げる。こういう表情をすれば相手は笑っていると感じて勝手に親近感を抱くだろうと計算された笑顔の作り方だ。まるでそれ以外の表情を忘れてしまったかのように、彼はいつも同じ笑顔を浮かべ、誰にでも同じ笑顔を向けた。
「本当はなんて名前だったのかどんな顔だったのか、もう思い出せないんだ。でもな、思い出せないってことはどうでもいいから忘れたってことだ。そうだろ?」
「思い出せないなんて、そんな──」
「そもそも名前なんてなかったのかもな。路地裏でひり出されてそのへんの野良犬に育てられたのかもしれないし、こういうのはどうだ? もしかしたら俺は人間じゃなかったのかもしれない」
家族だ。犬の家族。母犬の腹にむしゃぶりつく子犬たちは疑似餌みたいに尻尾を振ってる。幸せそうだった。母犬もへらへら笑ってた。かわいい我が子たちを見て!って顔をしてた。だから殺した。母犬がいない隙を見計らって子犬を全部踏み潰した。ブーツの靴底越しに肉が潰れ、まだ柔らかい骨が砕ける感触がして、とても楽しかったのを覚えてる。
帰ってきた母犬は子犬を探して住処を行ったり来たりして、一匹もいないことに気がついたのか悲しそうにきゅんきゅん鳴き始めた。
俺の母親ですら俺のために泣いてくれたことなんてなかったのに、この犬は子供のために泣いている。哀れだ。可哀想だ。だから殺した。首を捻ってやったらすぐに動かなくなった。いや、足はぴくぴく震えてたかも。子供と草原を駆け回ってるみたいにな。
とにかく、あの世で子犬と再会できて喜んでるはずだ。
俺の母親はこう言っていた。「あなたは他人を喜ばせようとして失敗する間抜けよ」間抜け?違う。俺は間違えたことなんてない。あの時も、これからも。

ファ5
黒い表紙の本に埃が積もってグレーになって、それを払う人間はここにいない。俺は掃除が嫌いだし、ここは俺の家じゃないから掃除なんて死んでもしない。あいつは必要最低限の家事しかしない。そして必要最低限に埃掃除は含まれていない。教会の様子を思い出すに、あいつは多分掃除が嫌いだ。それとも、意地でも床で眠る俺と違ってベッドで寝起きするから、床に平置きされた本に埃が積もっていることに気がつかないのだろうか。神様ってのは高いところから地上を見下ろして不幸な人間を探し当てていると思ったのに、こいつはベッドの高さから床を見下ろしても何も気がつかないぼんくららしい。そもそも俺はこいつが神様だと信じていないけど。
が、これはダッチだったものだ。バラバラにされた死体のパーツにまで人間性を感じるなんて、そっちのほうがどうかしてる。腕は腕で足は足だ。でもまぁ、頭はまだダッチのままだから、目を見るたびにちょっとした罪悪感と吐き気に襲われるのは仕方ない。これが腐ってぐずぐずの肉塊になったらこんな思いをしなくても済むだろう。多分。
浴槽に細切れ肉を放り込んで、腕を動かすたびにぎちぎちとかみちみちとか、湿った嫌な音をたててダッチの肩が、肘が、切断されていく。人間の骨っていうのは案外簡単に切り落とせるのだと初めて知った。開け放したドアの向
ドアの向こう側で行われる
ドア一枚隔てて
廊下の壁を背もたれに床に座り込んで
廊下の壁にもたれかかって俺はただ解体作業を眺めていた。ただ眺めていた。あっという間に手足が落とされ、胴体から頭を切り落としにかかる。ゆっくりと腰を伸ばし、ひとつため息をついた。血まみれの手のひらで額を拭うと汗に血が滲んで余計に汚れるだけで
「大工」
「何?」
「大工になれば良かったのに」
ファーザーは何言ってんだこいつ頭おかしくなったのか、みたいな顔をして、その数秒後にはっと目を見開くと、それからくすくすと肩を揺らして笑い始めた。
ファーザーがナザレのヨセフなら俺はその子どものキリストってことになる。なるほど俺が神だったのか。地の底に潜む神か。人肉を食ってキャンベルのスープを啜って、男と二人で生き長らえる神か。
つまんねぇ。
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